オン・マニ・ペニ・フン,オン・マニ・ペニ・フン。摩尼とて蓮華に幸,給いしや。
チベット仏教には,他者から苦痛を引き取り自らの痛みが消失するトンレンと呼ばれる瞑想法があるが,科学者はそのトンレンの理由を説明することができずにいる。今回開かれた「科学と精神についての国際会議」は,チベット仏教と現代科学の接点をみつけ,協力を探る試みだった。精神病がもっとも厄介な病気となる将来に向けて,チベット仏教に学ぶべきことは多い。
人はネットワークを数字の固まりであると理解しているが,実際のところそれは正しくない(と,ここでは断言)。生体学のないこの地で,ただひとつ根源としてあるものは心理,神経,霊魂でしかない。私たちはそれらに,データというベールをかぶせて,あたかも扱いやすいようにもてあそんでいる。だがそして,実際はそんなに簡単にもてあそべるものではないことに,はっきりと気付いている,知っている。メールもIMもウェブも,人の意思とは違う方向へと,進んでいってしまう,1+1=2のように,思い通りになどなりはしない。
街のいたるところに,極彩色に彩られた摩尼車(まにぐるま)が備え付けられている。人々はそれをカラカラと回し,オン・マニ・ペニ・フン,オン・マニ・ペニ・フン,と唱える。それは,個人の幸福のためではなく,世界全体の幸福のため,であり,それに人々は幸せを感じる。…ネットワークを,金の亡者や我利我利の権力者に渡すべきではない。こんなことを口にするとちょっと引く人もいるかもしれないが,「私たちはネットワークに宗教を持つべきだ」。チベット仏教と神経科学のつながりを明らかにしようとするWIRED NEWSの記事のように,IPのネットワークとその根幹にある(もともとつながっている)心理,神経,霊魂を管理する宗教を胸に抱こう。摩尼車をカラカラと回し,オン・マニ・ペニ・フン…と24時間,いつもいつでも,唱えながら…。
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